キレイライン矯正は抜歯なし?抜歯ありのケースや親知らずについても解説!
- 歯科医師
- 土黒さくら医師
(赤坂さくら歯科クリニック)
鹿児島大学の歯学部を卒業した後、大型医療法人グループの歯科医院の分院長に就任しました。その後、そのほかの歯科クリニックで経験を積んだ上で、赤坂さくら歯科クリニックを開設しました。私はインビザライン認定医として、インビザラインやキレイラインの治療を日々実施しており、多くの患者様から満足の声をいただいています。
歯列矯正をする際に、よく「抜歯が必要」と聞く方もいると思います。
確かに歯を動かして歯並びを整えるためには、歯と歯のスペース作りに抜歯が必要な場合もあります。
そのため、キレイライン矯正を考えている方の中には「抜歯するのかな?」と不安に思っている方もいるのではないでしょうか?
この記事では、キレイライン矯正は抜歯を伴う治療なのか、また抜歯が必要なケースはどのような症例かについて解説します。
赤坂さくら歯科クリニックはキレイライン矯正を提供している全国の数少ない歯科医院のひとつです。
抜歯が必要かどうか、どう進めていくのかなど、お気軽にご相談ください。
目次
キレイライン矯正で抜歯せずにスペースを作る方法
ワイヤー矯正やインビザライン矯正のような全体矯正と違い、キレイライン矯正は手軽さを強みにした前歯の部分矯正のため「極力抜歯せず、健康な歯を残す」ことを基本としています。
キレイライン矯正でどうしても抜歯が必要な場合は最終手段として行うこともありますが、主に拡大床の併用やIPRを実施することによって抜歯しないようにしています。
では、拡大床とIPRについてそれぞれ見ていきましょう。
拡大床
拡大床(かくだいしょう)とは、上顎や下顎につけ、歯と歯の間のスペースを作る歯列拡大装置です。
拡大床の中心にはねじがあり、そのねじを治療計画に沿って回すことで、徐々に歯列を広げていきます。
拡大床は取り外しが可能で、1日8時間以上の最低装着時間が必要です。30分以上を数回に分けてもいいのですが、トータル8時間以上を守らなければ効果が期待できません。
拡大床作成の費用は、片顎40,000円(税抜)です。別途再診料として、3,000円(税抜)ほどかかります。
IPR
IPR(Inter Proximal Reduction)とは、歯を削る処置のことです。薄い紙のようなやすりを使って、歯と歯の間を丁寧に少しずつ削ることによってスペースを確保します。
歯は3層構造になっているのですが、一番手前の神経や細胞も存在しないエナメル質の部分を約0.1~0.5mm削ります。
しみたり痛みがあったりはしません。歯の健康や寿命に影響はないため安心してできます。
IPRの費用は歯科医院によって異なりますが、1回の処置につき3,000円(税抜)程度かかります。
また、症状の強さによっては、拡大床とIPRのどちらの処置もする場合があります。
キレイライン矯正では治療困難な「抜歯あり」のケースとは?
歯の動くスペースがないと、抜歯や抜歯とは異なる方法で歯と歯の間にスペースを作り、歯並びを整える必要があると説明してきました。
では、抜歯がどうしても必要な場合はどういうときなのかについて以下に説明します。
- 重度の叢生や八重歯による歯のがたがた、受け口、出っ歯
- 口を閉じることができない
- 上下の顎が突出し、口元が盛り上がっている
- 歯が顎に比べ大きいため、並びきれていない
- 上下の顎のズレが大きく噛み合わせに問題がある
キレイライン矯正は上下の前歯を中心とした12本の部分矯正のため、矯正できる歯並びは多数ありますが「軽度な」不正咬合がメインです。
そのため、上記のような重度の不正咬合の場合は抜歯が必要なため、通常は別の矯正での対応になります。
「抜歯が必要かどうか」「軽度な不正咬合と言えるのか」などは、自身では判断できないため専門である歯科医師に相談しましょう。
キレイライン矯正で「親知らず」は抜歯するのか?
キレイライン矯正をはじめるときに「親知らず」が生えている方もいると思います。
親知らずの生えている向きによっては、別の歯に力がかかったり、歯茎を圧迫したりするため、歯列矯正をしてもなかなか改善しない場合もあります。
親知らずが歯並びに及ぼす悪影響は放っておけませんが、キレイライン矯正では大きな事情がない限りは、そのままの状態でまずは歯科医師に相談することを推奨しています。
もちろん、全体的な歯の健康や治療を順調に進めるために、親知らずを抜歯することをすすめられる場合もあります。
しかし、特に親知らずがあることで痛みや炎症などの症状がなければ、キレイライン矯正治療中や治療後でも抜歯はできます。
まずは初回の診察時に、歯科医師の見解を確認しましょう。
キレイライン矯正は抜歯しないことが基本方針
キレイライン矯正では「極力健康な歯を抜かない治療」を基本方針としています。
できる限り抜歯しないのは、以下のような理由のためです。
自由度の高い手軽な治療を目指している
キレイライン矯正は、自身が満足した段階で歯科医師と相談し、治療を完了できる「自由度の高い治療」を目指しています。
短期間でいつでも終了できるという利点がある一方、抜歯を伴う全体矯正は、治療期間が長いことを想定され、安易に治療をやめることができません。
なぜなら、抜歯で空いたスペースがそのまま残る可能性があるからです。
また、矯正治療中に転居などにより転院しなくてはならない状況になった際に、歯科医院によっては治療方針や、費用に違いが出てくる可能性もあります。
そのため、なるべく抜歯はしないのです。
骨性癒着の場合のリスクを考えて
骨性癒着とは「歯根」と「歯槽骨」がくっついてしまう状態のことで、通常、骨性癒着している歯は矯正によって動かせません。
遊んでいて強く歯をぶつけた、歯がぐらついたなどのように歯に負荷がかかると骨性癒着を起こすケースがあるのですが、骨性癒着は画像検査だけでは判別不可能なこともあります。
そのため、骨性癒着している歯があるにもかかわらず、その横の歯を抜いてしまい、予定通り歯が動かないというケースもあります。
そうなると、さらに抜歯するリスクが出てくるのです。
抜歯する場合は、動かしたい横の歯が骨性癒着しているかどうか、歯科医師が注意深く見定めることが必要です。
他の歯への負担を減らす
健康な歯を抜歯して歯が少なくなれば、残った歯への負担はもちろん大きくなります。できるだけ健康な歯を残し、1本あたりにかかる負担を減らすようにします。
キレイライン矯正では健康な歯を維持するため、抜歯せずに歯を残そうというのが基本的な考えではありますが、理想の歯並びに近づくためには、どうしても抜歯が必要な場合もあります。
手軽にできるキレイライン矯正だからこそ、抜歯が必要で治療できない症例もあります。まずは歯科医師にキレイライン矯正が適応可能か相談することからはじめましょう。
より詳しくは、赤坂さくら歯科クリニックにてご相談・ご来院をおまちしております。