噛み合わせが深いとは?マウスピースで治せる?リスクや治療法を解説
- 歯科医師
- 土黒さくら医師
(赤坂さくら歯科クリニック)
鹿児島大学の歯学部を卒業した後、大型医療法人グループの歯科医院の分院長に就任しました。その後、そのほかの歯科クリニックで経験を積んだ上で、赤坂さくら歯科クリニックを開設しました。私はインビザライン認定医として、インビザラインやキレイラインの治療を日々実施しており、多くの患者様から満足の声をいただいています。
噛み合わせが深い【過蓋咬合】は、顎関節や口腔内にさまざまな不調を引き起こします。
年齢を重ねるごとに重症化する傾向があるため、今は痛みや違和感がないとしても早めに治療することが大切です。
しかし、噛み合わせが深いのが自身に当てはまるかどうかを自分で判断するのはときに難しいこともあるのではないでしょうか。
「噛み合わせが深いとはどんな状態?」
「噛み合わせが深いのはインビザラインで治せる?」
このような疑問にお答えします。
過蓋咬合をインビザラインで治療するメリットや費用、治療期間の目安についても解説しますので参考にしてください。
目次
噛み合わせが深い【過蓋咬合】とはどのような症状?
上下の歯の噛み合わせが深い症状を「過蓋咬合(かがいこうごう)」といいます。
正常な噛み合わせは上下の前歯の重なりが2〜3mm程度ですが、過蓋咬合は下の歯がほとんど見えないくらい深く隠れていることがあります。
自覚症状はほとんどなく、時間の経過とともに進行するため年配の方ほど重症になりやすいのが特徴です。
過蓋咬合は口腔内だけでなく身体全体に悪影響が出るほか、審美性も損なわれるためできるだけ早く治療することが重要です。
噛み合わせが深いことのデメリット
ここでは、噛み合わせが深いとどのようなデメリットがあるか解説します。
顎関節症の原因になる
過蓋咬合は顎関節に負担がかかるため、顎関節症の原因となることがあります。
本来下顎は前後・左右・上下に自由な動きをしますが、噛み合わせが深いことにより動きが制限されることで顎関節に大きなストレスがかかります。
顎関節症になると咀嚼時に痛みや違和感を感じたり、顎を動かす際に不快な音がするなどさまざまな症状が現れます。
歯周病、虫歯の原因になる
過蓋咬合は歯や歯茎、周囲の骨に負担がかかりやすく、虫歯の原因となることがあります。
噛み合わせが深すぎると上の前歯が下の前歯の歯茎を刺激することもあり、噛み合わせの力によって歯茎が少しずつ痩せて下がっていく「歯肉退縮」が起こります。
歯肉退縮が進んで歯根が露出すると、歯周病や虫歯になりやすい状態となります。
咬耗・知覚過敏の原因になる
過蓋咬合は過剰に噛んでしまうため、前歯や奥歯がすり減る「咬耗」の原因となります。
咬耗が進み歯がすり減ると歯のエナメル質や象牙質(ぞうげしつ)が削れ、神経との距離が近くなることで知覚過敏を引き起こしやすいです。
咬耗は年齢を重ねるごとに進行していきますので、できるだけ早期に治療を行い噛み合わせを浅くすることが必要です。
歯の破折原因になる
過蓋咬合により歯に強い力がかかり続けると、歯が割れたり折れてしまう「破折」が起こりやすいです。
破折には、見えている部分に起こる「歯冠破折」と、歯茎に埋まって見えない部分に起こる「歯根破折」の2種類があります。
歯冠破折であれば人工物を被せることやコンポジットレジンというプラスチックで修復が可能ですが、歯冠破折(特に縦に歯折している場合)が起きてしまうと抜歯をせざるを得ない状況となります。
噛み合わせが深くなる原因
噛み合わせが深くなる原因には、以下のようなものがあります。
- 骨格に問題がある:上顎が下顎に比べて大きい、下顎が上顎に対して小さいなど骨格の位置関係に異常があると、過蓋咬合を引き起こします。
- 生活習慣や癖によるもの:ストレスにより強く噛み締めたり、歯ぎしりや頬杖をつくなど、生活習慣や癖が過蓋咬合の原因となることがあります。
- 奥歯がないため:奥歯がないと、奥歯に高さが足りなくなる状態が続き前歯に負担がかかるため噛み合わせが深くなります。
噛み合わせが深い【過蓋咬合】はインビザラインで治せる
噛み合わせが深いときは、インビザラインで治療可能です。
以下で、過蓋咬合をインビザラインで治療する方法や、他の矯正方法とどのような違いがあるのか解説します。
また、費用の目安についても触れていますので参考にしてください。
インビザラインで過蓋咬合を治療する方法
過蓋咬合を治療するときは、前歯を歯茎の方向に歯を押し込む「圧下」と、奥歯を引っ張り出す「挺出」という矯正方法を用います。
インビザラインでは、マウスピースやアタッチメントを使用して圧下や挺出を行うことが可能です。
上記のような歯の移動を行うことで、噛み合わせを浅くしていき過蓋咬合を治療します。
インビザラインは過蓋咬合の治療に最適
インビザラインは透明なマウスピースを使用して歯並びを整える矯正方法で、過蓋咬合の治療に適しています。
その理由は、
- マウスピースは深い噛み合わせにもフィットする
- 噛む力を利用して自然に矯正力がかけられる
の2点です。
ワイヤー矯正の場合、前歯の部分の噛み合わせが深いと下の前歯に隙間がないため、装置をつけるのが難しいです。
一方インビザラインは薄いマウスピースを使用しますので、どのような噛み合わせの歯にもフィットして矯正力をかけることができます。
また、インビザラインは噛む力を利用して歯を整えますので、噛み合わせが強い過蓋咬合との相性が良いと言えます。
インビザラインで過蓋咬合を治すときの費用・治療期間
インビザラインで過蓋咬合を治すときの費用の目安は70万円〜100万円程度で、治療期間の目安は2〜3年程度です。
インビザラインの費用や治療期間は、治療する歯の範囲によって異なります。
過蓋咬合は奥歯も含めた全体矯正が適用されることが多いので、上記の費用と治療期間が目安となります。
まとめ
噛み合わせが深い(過蓋咬合)とは、奥歯で噛んだときに上の歯が覆い被さって下の歯が見えない状態のことを指します。
噛み合わせが深いと、顎関節症や歯周病、虫歯、知覚過敏などさまざまな症状を引き起こしやすいです。
噛み合わせが深い症状はインビザラインで治療をすることが可能です。
インビザラインのマウスピースは深い噛み合わせにもフィットし、噛む力を利用した矯正が可能なため過蓋咬合に適した治療法といえます。
噛み合わせが深いことに悩んでいる方は、インビザラインでの治療を検討してみてください。
より詳しくは、赤坂さくら歯科クリニックにてご相談・ご来院をおまちしております。