インビザライン・ファーストとは?年齢や費用、メリット・デメリットについて徹底解説
- 歯科医師
- 土黒さくら医師
(赤坂さくら歯科クリニック)
鹿児島大学の歯学部を卒業した後、大型医療法人グループの歯科医院の分院長に就任しました。その後、そのほかの歯科クリニックで経験を積んだ上で、赤坂さくら歯科クリニックを開設しました。私はインビザライン認定医として、インビザラインやキレイラインの治療を日々実施しており、多くの患者様から満足の声をいただいています。
子供用のインビザライン・マウスピース矯正の「インビザライン・ファースト」。
「インビザライン・ファーストの適応年齢は?」
「デメリットや注意点は?」
このように思っている方に向けて、インビザライン・ファーストの特徴や適応年齢、メリット・デメリットなどについて解説します。
目次
インビザライン・ファーストとは
インビザライン・ファーストは、アメリカのアライン・テクノロジー社が提供する子供用のマウスピース矯正です。
元々大人用として展開されていた「インビザライン」ですが、技術の進歩により、2018年ごろに子供用のインビザライン・ファーストが開発されました。
ここでは、インビザライン・ファーストの特徴や適応となる症状をご説明します。
インビザライン・ファーストの特徴
インビザライン・ファーストの特徴は下記の5点です。
- 目立ちにくいマウスピース矯正
- 段階的に歯を動かすため痛みが少ない
- 期間に区切り(治療開始から1年半まで)がある
- 取り外し可能なため、日常生活に影響がでにくい
- 1300万人以上のビッグデータを活用して日々進化するシステム
適応となる症状
インビザライン・ファーストの適応となる症状は下記のとおりです。
- 6歳大臼歯の異萌出(いほうしゅつ):6歳大臼歯が真っ直ぐはえずに手前の乳歯に引っかかったはえ方をしている状態
- 奥歯の反対咬合:上の歯よりも下の歯が外側にでている状態
- 前歯の反対咬合:上の前歯が下の歯より奥側になっている状態
- 前歯の叢生(そうせい):前歯がガタガタしている状態
インビザライン・ファーストの適応年齢は
インビザライン・ファーストの対象年齢は一般的に6歳〜10歳です。
6歳〜10歳は「成長の休憩時間」とも呼ばれます。
前後の年齢と比べて成長が少し落ち着くこの期間がインビザライン・ファーストの適応年齢です。
詳しくは、下記が適用条件となります。
- 6歳大臼歯が4本ともはえていること
- 永久歯の前歯が6本あるうちの2本が3分の2以上はえていること
- その間に乳歯(CDE)、または永久歯(345)が2本以上はえていること
なお、この時期に行う治療を一期治療といい、その後永久歯がはえそろった段階で行う治療を二期治療といいます。
インビザライン・ファーストでの治療(一期治療)が終了した後、必要に応じて二期治療を行います。
インビザライン・ファーストの費用
インビザライン・ファーストの費用の目安は35万〜70万円です。
歯列矯正は自費治療となるため、歯科医院により値段が異なります。
また、一期治療と二期治療の費用の割合も歯科医院によりさまざまなため、治療をはじめる前によく確認してくださいね。
一期治療と二期治療のトータルで見ると、大人のインビザライン治療にかかる費用と大きな違いはありません。
インビザライン・ファーストの期間
インビザライン・ファーストの治療期間には区切りがあり、最大1年半で終了することが必要です。
この1年半の間に一期治療を完了し、永久歯がはえそろうまでリテーナー(保定装置)を使用しながら経過観察を行います。
その後、二期治療に進む必要があるか、それとも一期治療のみで終了となるかを決めていくという流れになります。
インビザライン・ファーストのメリット・デメリット
ここでは、インビザライン・ファーストのメリット・デメリットについてご紹介します。
インビザライン・ファーストのメリット
インビザライン・ファーストのメリットは下記の4点です。
- 見た目が気にならない
- 虫歯になりにくい
- スポーツや楽器もOK
- 痛みが少ない
一つずつ解説しましょう。
見た目が気にならない
インビザライン・ファーストは透明なマウスピース矯正のため、目立ちにくいのが特徴です。
ワイヤー矯正の見た目に抵抗感があるお子様におすすめですよ。
虫歯になりにくい
インビザライン・ファーストは取り外し可能なマウスピース矯正のため、いつも通りの歯磨きが可能です。
歯磨きにコツが必要となるワイヤー矯正と比べ、虫歯のリスクを抑えることができますよ。
さらに、マウスピースの内側にフッ素ジェルを塗布することでより高い虫歯予防効果が期待できます。
スポーツや楽器もOK
インビザライン・ファーストは、スポーツや楽器などを普段通りに楽しむことが可能。
インビザライン・ファーストで使用するマウスピースは薄くて柔らかい作りなので、スポーツで衝撃が加わっても怪我の原因になりにくいのです。
また、ワイヤー矯正の場合は矯正装置が楽器演奏に影響を及ぼすことがありますが、インビザライン・ファーストはその心配もありません。
痛みが少ない
インビザライン・ファーストは、ワイヤー矯正に比べると痛みが少ないのが特徴です。
痛みが少ない理由は2つ。
1つは、インビザライン・ファーストは薄くて柔らかいマウスピースを使用しており、ワイヤー矯正のように口腔内を傷つけるリスクが少ないからです。
もう1つは、ワイヤー矯正より歯の動かし方がゆっくりだからです。
インビザライン・ファーストのデメリット
インビザライン・ファーストのデメリットは下記の3点です。
- 本人の協力が必要
- 装着やお手入れなど、保護者による管理が必要
- 適応できない症例がある
一つずつ解説します。
本人の協力が必要
インビザライン・ファーストは取り外し可能なのがメリットですが、一方でデメリットにもなります。
なぜなら、マウスピースを1日20時間以上しっかりと装着してもらわないといけないからです。
本人の協力がなければ治療を進めることは難しいでしょう。
装着やお手入れなど、保護者による管理が必要
インビザライン・ファーストは保護者による管理が欠かせません。
装着時間が守られているか、交換時期はいつ頃か、お手入れができているかなど、さまざまなことに注意する必要があります。
適応できない症例がある
歯並びや骨格によっては、インビザライン・ファーストが適応できないことも。
重度の不正咬合や叢生に対しては、ワイヤー矯正など他の治療が必要となる可能性があります。
インビザライン・ファーストのよくある質問
ここでは、インビザライン・ファーストのよくある質問について回答します。
Q:子供のうちから矯正治療をはじめた方がいいのですか?
A:はい。子供のうちからの矯正がおすすめです。
小児矯正の1番のメリットは、成長を利用できること。
成長段階で治療を行うことで、無理なく顎の位置や大きさを整えることができます。
その他、大人になってからの治療を軽減できたり、抜歯や手術のリスクを回避できるなどさまざまなメリットがありますよ。
Q:1日の装着時間はどのくらいですか?
A:装着時間の目安は1日20時間以上です。
基本的に、食べている時と歯磨きの時以外は装着するようにしましょう。
Q:子供が自分でマウスピースを着脱することは可能ですか?
A:お子様でもお一人でマウスピースの着脱が可能です。
はじめはコツが必要ですが、すぐに慣れていきますよ。
まとめ
インビザライン・ファーストは6歳〜10歳の子供を対象とした矯正治療のブランドです。
この時期にしっかりと矯正を行うことで、永久歯がはえそろってからの二期治療がより短期で簡単なものになります。
また、インビザライン・ファーストは普段通りの食事や歯磨きができるなど、ワイヤー矯正と比較したときのメリットも多数です。
お子様の歯並びを治したいと考えている方は、今回ご紹介した内容を参考に、インビザライン・ファーストを検討してみてくださいね。
より詳しくは、赤坂さくら歯科クリニックにてご相談・ご来院をおまちしております。