舌磨きの正しいやり方は?ポイントや効果についても詳しく解説
- 歯科医師
- 土黒さくら医師
(赤坂さくら歯科クリニック)
鹿児島大学の歯学部を卒業した後、大型医療法人グループの歯科医院の分院長に就任しました。その後、そのほかの歯科クリニックで経験を積んだ上で、赤坂さくら歯科クリニックを開設しました。私はインビザライン認定医として、インビザラインやキレイラインの治療を日々実施しており、多くの患者様から満足の声をいただいています。
なんだか口が臭うと感じ、鏡で舌を確認すると白っぽいときがありませんか?
これは「舌苔(ぜったい)」と言って、口臭の原因になるものです。
「(前略)口臭の予防のために舌清掃を推奨していく必要性があると思われた。(後略)」
引用:舌苔を認める者の口臭抑制に対する舌清掃の効果について
上記の文献にあるように、口臭予防には舌苔を取り除くための舌磨きが推奨されています。
しかし、舌はデリケートなため間違ったやり方をすれば、舌の粘膜を傷つけてしまう恐れもあるのです。
この記事では、舌磨きのやり方やポイント、舌苔についてなど詳しく解説します。
赤坂さくら歯科クリニックでは、患者様とお話しする時間を大切にしています。
お口のことで気になることがありましたら、お気軽にご相談くださいね。
目次
舌磨きの正しいやり方を解説
舌磨きは、口臭や口内環境の改善に役立つ重要な口腔衛生の1つです。
正しい舌磨きのやり方によって、口腔内の細菌や汚れを効果的に除去できます。
ここでは、舌苔を取り除くための正しい舌磨きのやり方を手順に沿って解説していきます。
舌を潤す
舌磨きをはじめるときは舌を滑らかに磨きやすくするため、舌を潤します。
ここで大事なことは「歯磨きより先に」舌磨きをすることです。
舌磨きを先に行うことで、舌についた汚れが歯ブラシに付着することを防げます。
舌ブラシでやさしく磨く
舌磨きをする際は、専用の舌ブラシで「やさしく」磨きます。
歯磨き粉を使う方もいますが、研磨剤が入っていることも多く、舌の粘膜が傷ついて雑菌が繁殖する恐れがあるためおすすめしません。
また、舌ブラシは前後にゴシゴシ動かさず、舌の奥から前方に向かってやさしくこするように磨きます。
なぜなら、舌の奥の方が一番汚れが付着しており、前後に舌ブラシを動かすと磨いた箇所に汚れが移ってしまうからです。
その他、舌磨きには「ヘラ型」や「U字型」のスクレーパーがあり汚れをかき出すのですが、歯磨き粉は使わず、奥から前にやさしくかき出すやり方は舌ブラシと共通しています。
口をすすぐ
舌磨きをした後に歯磨きをしますが、そのまま歯磨きに移行せずに、一旦しっかりうがいをします。
舌磨きの汚れを取り除いて、きれいな舌の状態で歯磨きをしましょう。
舌磨きの5つのポイント
舌磨きを正しいやり方でするにあたり、いくつかポイントがあります。
より効果的な舌磨きにするため、ここでは5つのポイントを紹介します。
1日1回舌磨きをする
舌磨きは過度にやり過ぎても舌の粘膜を傷つけてしまうため、1日1回が理想です。
おすすめは朝起きてすぐのタイミングです。
就寝時は唾液の分泌量が減り、自浄作用の低下から、口内細菌が増殖します。
朝に舌磨きをして、夜間に付着した舌苔を除去し、スッキリとした口内環境を保ちましょう。
専用の舌ブラシを使う
舌磨きの際は、専用の舌ブラシや専用のジェルを使うことをおすすめします。
専用の舌ブラシは、毛先が柔らかかったり、シリコン素材のものだったりと舌の粘膜を傷つけないよう配慮されています。
また、水だけで磨くのではなく専用のジェルを使う方が、汚れ落ちには効果的です。殺菌成分や保湿成分が配合されています。
適度な力加減で磨く
舌はとても繊細です。舌磨きは適度な力加減で行い、舌の粘膜や味覚受容体である味蕾(みらい)を傷つけないよう、気を付けましょう。
力を入れすぎないように舌ブラシを指先で軽く握る工夫も必要です。
舌はしっかり出す
舌ブラシが喉の奥まで入り、オェッとえずく「嘔吐反射」を防ぐため、舌は思いきり外に出してから舌磨きをしましょう。
また呼吸を整えることで、嘔吐反射を抑えることができます。
リラックスした状態で深呼吸をしながら、ゆっくり舌磨きをしましょう。
無理にきれいにしようと思わない
「(前略)舌を染色した後に舌ブラシを使用した場合は染色された部分をより強い圧で取り除こうとしたためか、染色しない場合に比較して、有意に強い力で舌ブラシを使用したことが判明した。(後略)」
引用:舌ブラシ使用法に関する研究 : 舌の染色が舌ブラシ圧に及ぼす影響について
舌が汚れていると、心理的にきれいにするまで無理に舌磨きをする傾向があります。
舌苔を気にしすぎての過度な舌磨きは舌の粘膜を傷つけます。
無理なく正しいやり方で舌磨きを継続することが大切です。
舌磨きで取り除く「舌苔」とは?
舌磨きによって、舌の汚れである「舌苔」を取り除くやり方やポイントについて解説してきましたが、そもそも舌苔とは何かについてここでは解説していきます。
また、舌苔ができる原因も合わせて紹介します。
舌苔とは舌の表面に食べかすや細菌などが付着したもの
舌苔は、舌の表面に付着する白っぽい苔状のものを指し、食べかすや細菌、死んだ細胞などが結合したものです。
舌苔に付着した汚れを嫌気性菌により分解されると、口臭の原因になる揮発性硫黄化合物を作り出します。
舌苔を放置していても健康上問題はありませんが、舌苔が厚くなると口臭の原因になるため舌磨きを習慣化しましょう。
舌苔ができる原因
舌苔ができる主な原因は以下の通りです。
- 口内の清掃不足
- 口呼吸による口腔内の乾燥
- 栄養バランスの偏りによる食生活の乱れ
- 喫煙やアルコールの摂取
- ストレスによる免疫力の低下 など
舌苔は健康な人でもできますが口臭の原因になるため、舌磨きで清潔にすることはもちろん、鼻呼吸を意識したり、食生活・生活習慣を見直したりすることが大切です。
また、唾液の分泌を良くすることも舌苔には有効です。
食事中はよく噛んだり、水分を適度に取ったり、また、舌を意識的に動かしたり(口の体操)すると唾液の分泌量が増え、舌苔を予防する手助けをします。
舌磨きで得られる効果
正しいやり方で舌磨きをすると、口臭予防だけではなく、他にも以下のような効果があります。
- 誤嚥性肺炎の予防
- 腸内環境のバランスを整える
- 味覚の改善 など
高齢の方は寝たきりになり口内ケアがうまく出来なかったり、噛む力が弱くなったりとさまざまな要因から、舌苔が厚くなりやすい傾向にあります。
細菌が気管支に入って起こる「誤嚥性肺炎」を予防するためにも、舌磨きによって口腔内を清潔にすることは大切です。
その他、舌磨きによって口腔内の細菌環境が良好だと、腸内環境のバランスを整えるという研究結果も出ています。
また、厚くなった舌苔のせいで味覚を感じ取りづらかった方は、舌磨きによって味蕾が正常に機能し、味覚の改善が期待できます。
参考:誤嚥性肺炎患者の口腔内の状態と口腔ケアおよび口腔と吸引痰からの検出菌に関する実態調査
8020と長寿について、口腔細菌叢と腸内細菌叢に関する研究
まとめ
舌磨きによって口腔ケアをすることは、口臭予防だけではなく、誤嚥性肺炎の予防や腸内環境を整える、味覚の改善などにも効果があります。
しかし、正しいやり方で舌磨きをしないと、舌の粘膜を傷つけ悪影響につながります。
舌磨きは、食べかすや細菌などの集合体である舌苔を、専用の舌ブラシを使って、やさしく奥から前にかき出します。
過度に舌磨きをせず、1日1回を歯磨き前にすることをおすすめします。
舌磨きを正しいやり方で行っていてもなかなか口臭が治らない場合、舌苔が原因ではないかもしれません。その場合はプロに相談してみましょう。
赤坂さくら歯科クリニックでは、お口に関するお悩みに親身に寄り添います。
舌磨きのことや口臭でお悩みのことがあればお気軽にご相談ください。
より詳しくは、赤坂さくら歯科クリニックにてご相談・ご来院をお待ちしております。