インビザライン矯正中の飲み物は何が良い?【医者が5分で解説】
- 歯科医師
- 土黒さくら医師
(赤坂さくら歯科クリニック)
鹿児島大学の歯学部を卒業した後、大型医療法人グループの歯科医院の分院長に就任しました。その後、そのほかの歯科クリニックで経験を積んだ上で、赤坂さくら歯科クリニックを開設しました。私はインビザライン認定医として、インビザラインやキレイラインの治療を日々実施しており、多くの患者様から満足の声をいただいています。
「インビザライン矯正中は何を飲めるのかな?」
インビザライン中の飲み物について考えたことはありますか?
結論、マウスピースをつけたまま飲んで良いのは、水や炭酸水、お茶になります。
インビザライン矯正は、透明なマウスピースを歯に装着し、歯並びをきれいにする治療です。
矯正中に気にせずドリンクを飲むと虫歯や歯周病になり、治療の完了が遅れるケースがあります。
最後まで記事を読むと、インビザライン矯正中に飲んでも良いドリンクがわかり、虫歯や歯周病になるリスクを下げられます。
そのため、予定している最短の期間でインビザライン矯正が完了します。
目次
インビザライン矯正中に飲んで良いのは水や炭酸水、お茶
マウスピースをつけたままの状態で飲んで良いのは、水や炭酸水、お茶などです。
砂糖を含んでいないため虫歯になりにくいからです。
インビザライン矯正では、マウスピースをつけたままでもドリンクを飲めます。
しかし、糖分が含まれるジュースやスポーツドリンクなどを飲むと、虫歯になりやすいため飲み物は限定されます。
基本的に飲食する際は、マウスピースを外します。外した状態であれば、どんなドリンクを飲んでも問題ありません。
マウスピースをつけた状態では、水や炭酸水など糖分を含まない飲み物だけを飲めます。
インビザライン矯正中に飲み物の制限がある3つの理由
マウスピースをつけている状態で飲み物の制限があるのは、インビザライン矯正を予定した期間で終えるためです。
好きなドリンクを飲んでいると、矯正中に虫歯や歯周病などの症状がでる可能性があります。
矯正治療を中止し、先に虫歯などを治す必要があります。
すると、インビザライン矯正が完了するのが、予定の時期より遅れます。
虫歯ができる
マウスピースをつけたまま、糖分を含むジュースなどを飲むと虫歯ができやすいです。
歯とマウスピースの間に、虫歯の原因となる「虫歯菌」が居続けるからです。
口の中にある唾液(だえき)は虫歯菌を洗い流し、健康な歯をキープする役割があります。
マウスピースをつけると歯と密着するため、唾液が歯に届かずに虫歯菌が増えます。
つまり、虫歯が進行します。
マウスピースを付けたまま、ジュースなどを飲むと虫歯ができやすいです。
歯やマウスピースに着色汚れが付着
歯を矯正している際に、コーヒーや紅茶、緑茶などを飲むと、歯やマウスピースに着色汚れがつきます。
汚れの原因となる「ポリフェノール」が含まれているからです。
コーヒーや紅茶に含まれる「ポリフェノール」は、歯のエナメル質のタンパク質と結びつき、着色汚れになります。
歯やマウスピースについた着色汚れは、口をすすいだり歯を磨いたりする方法ではきれいになりません。
着色汚れのついたマウスピースをつけると、周囲の人に歯が汚い印象を与えます。
また、マウスピースはプラスチックでつくられているため、変色しやすいです。
矯正中にコーヒーや紅茶、緑茶などを飲むと、マウスピースや歯が汚れるため控えた方が良いです。
マウスピースが変形
マウスピースをつけたまま、熱いお茶やコーヒーなどを飲むと変形する恐れがあります。
マウスピースは、熱に弱い素材のプラスチックでつくられているからです。
マウスピースを販売しているインビザライン・ジャパン株式会社でも、マウスピースを40度以上で15分以上触れると、変形の可能性があると回答しています。※
※チャットで「温度」と相談した回答
カフェで飲むコーヒーの温度は約60〜70度のため、マウスピースが変形する可能性はあります。
変形すると計画した位置に歯を動かせないため、マウスピースのつくり直しが必要になります。
マウスピースが変形しないように、装着中は熱いドリンクは控えると良いです。
インビザライン矯正中に注意が必要な3つの飲み物
インビザライン矯正中は、糖分や酸が含まれるドリンクを飲むのは要注意です。
虫歯ができやすくなり治療が必要となるため、矯正する期間が長引くからです。
矯正中に注意するべき3つの飲み物を紹介します。
スポーツドリンク
水分補給で飲むスポーツドリンクは、虫歯になる恐れがあります。
スポーツドリンクには、虫歯から守るエナメル質を溶かす「酸」の成分が入っているからです。
通常は、唾液の働きで口の中はph6.8〜7.0の「中性」に保たれ、きれいな状態です。
スポーツドリンクの酸性度は、約pH3.5と酸が多く含まれています。
スポーツドリンクを飲むと、口の中が中性から酸性に変化し、歯のエナメル質を溶かしやすいです。結果、虫歯が進行します。
スポーツドリンクを飲み続けると虫歯のリスクが上がり、矯正期間が長くなる恐れがあります。
炭酸飲料などの清涼飲料水
炭酸飲料などの清涼飲料水には多くの砂糖が入っているため、虫歯になりやすいです。
糖分は歯にくっつきやすく、虫歯を予防する歯の表面のエナメル質を溶かします。
たとえば、500mlのコカ・コーラの場合、56.5gの砂糖が含まれています。
世界保健機構(WHO)によると、1日に取る糖分量は総エネルギーの10%未満が良いとされています。
大人は1日当たり25gの糖分が適正です。
砂糖が多く含まれる清涼飲料水を飲むと虫歯になりやすく、インビザライン矯正する期間が長引きます。
アルコール
アルコールにも糖質が含まれており、虫歯になりやすいです。
特にアルコールを発酵させてつくる「醸造酒(じょうぞうしゅ)」や醸造酒などに薬草、糖などを加えてつくる「混成酒」は、多くの糖質が入っています。
醸造酒はビールやワイン、日本酒などで、混成酒はリキュールやカクテル、梅酒などです。
アルコールを飲むのであれば、以下の糖質が少ない「蒸留酒」がおすすめになります。
- ウイスキー
- ブランデー
- 焼酎
矯正中に糖質を含むアルコールを、たくさん飲むのは控えると良いです。
インビザライン矯正中に適さない飲み物を飲むとき
インビザライン矯正中に、水や炭酸水、お茶などを飲むとき以外は、マウスピースを外します。
マウスピースを外さないまま、虫歯になりやすいコーラなどのドリンクを飲むケースもあります。
マウスピースをつけたまま、飲んだときの対応策を2つ紹介します。
すぐに歯磨きをする
ジュースやアルコールなどを飲んだときは、すぐに歯磨きをすることが大切になります。
マウスピースと歯の間についている、虫歯の原因となる糖分を洗い流せるからです。
また、マウスピースを水で洗いながら手でこする方法も良いです。
マウスピースの内側をきれいにできるため、もう一度つけても歯に糖分がつきにくくなります。
マウスピースをつけたままジュースなどを飲んだ場合、すぐに歯磨きをすることをおすすめします。
マウスピースをクリーニング
市販されている「マウスピース用の洗浄剤」を使用し、クリーニングすると良いです。
洗浄剤を使用すると除菌効果があるため、マウスピースをきれいに維持できるからです。
ジュースなどを飲むと、マウスピースの内側に細菌がたまり、悪臭や汚れの原因になります。
また、洗浄剤とは別に「水洗い」や「歯ブラシ」などで日頃から掃除することが大切です。
マウスピースをつけたままジュースなどを飲んだ場合は、マウスピース用の洗浄剤を使用すると良いです。
まとめ
インビザライン矯正のマウスピースをつけたままでも飲めるのは、糖分を含まない水や炭酸水、お茶などです。
マウスピースを外せば、炭酸飲料やアルコールなど何でも飲めます。
ただし、インビザライン矯正中に虫歯になると、矯正治療を止める必要があるため、完了する時期が遅れます。
きれいな歯並びを手に入れるためには、口にするドリンクも気をつけながら飲むと良いです。
より詳しくは、赤坂さくら歯科クリニックにてご相談・ご来院をおまちしております。