マウスピース矯正の値段が知りたい!治療費の内訳や支払い方法についても解説
- 歯科医師
- 土黒さくら医師
(赤坂さくら歯科クリニック)
鹿児島大学の歯学部を卒業した後、大型医療法人グループの歯科医院の分院長に就任しました。その後、そのほかの歯科クリニックで経験を積んだ上で、赤坂さくら歯科クリニックを開設しました。私はインビザライン認定医として、インビザラインやキレイラインの治療を日々実施しており、多くの患者様から満足の声をいただいています。
歯並びの状態は、顔全体の印象に大きく影響を与えるといわれ、近年は審美目的の歯科矯正をされる人も増えています。
歯科矯正というと、歯の表面にワイヤーをつけて痛みを伴う治療のイメージがありましたが、最近ではマウスピースを使用した歯科矯正も人気です。
今回は、マウスピース歯科矯正の気になる費用の相場を紹介していきます。
歯の状態や、歯科矯正の治療方法によって費用が異なるので、あくまで目安として参考にしてください。
目次
マウスピース歯科矯正とは?
「マウスピース歯科矯正」とは、透明に近いマウスピース型の矯正装置を歯に装着して、少しずつ歯を動かして歯並びを綺麗にする治療方法です。
個人に合わせて作製されるマウスピースを装着して、理想の歯並びになるように歯を動かしていきます。
治療の段階に合わせて、マウスピースは新しく作りなおして交換していきます。
マウスピース歯科矯正の特徴
従来は、「歯科矯正」というと、歯の表面にワイヤーを装着して歯を移動させるものでした。
歯科矯正中はワイヤーが目立ってしまうことと、簡単には取り外しができないため、食べ物が挟まりやすく虫歯のリスクが高いことなどが難点でした。
しかし、マウスピース型の歯科矯正では「目立ちにくい」ことと、「取り外しができる」ということが最大の特徴です。
透明なマウスピースを歯にはめておくことで治療ができるので、人から見られても気づかれにくいです。
また、必要に応じて取り外しができるため、大切なイベントなどでどうしても外しておきたいときは、自分でマウスピースを外すことができます。
歯磨きの際にはマウスピースを外して、虫歯にならないよう隅々まで歯を磨くことができますし、マウスピースは消毒して衛生的に保つことができます。
次は、マウスピースのメリットとデメリットにわけてもう少し詳しく紹介しましょう。
マウスピース歯科矯正のメリット
マウスピース歯科矯正のメリットをいくつか紹介します。
目立たない歯科矯正装置
マウスピース歯科矯正で一番にメリットとして感じられる方が多いのが、「目立たない」という点です。
透明で薄いマウスピースは、人から見られたときに装着していることがほとんどわかりません。
治療中の見た目が気になる人におすすめの治療方法といえるでしょう。
口腔内を清潔に維持できる
ワイヤー型装置は、ワイヤーの隙間や金具周辺に食べ物がつまりやすく、歯磨きをしても口腔内の衛生を保つことが難しいです。
一方でマウスピース型の歯科矯正では、マウスピースを外した状態で歯磨きができます。
普段通りの状態で歯磨きができるので、口腔内の衛生状態が維持しやすいです。
また、お子様の歯科矯正の場合にも、虫歯対策にマウスピース型歯科矯正は良いといえるでしょう。
装置を外して食事ができる
こちらも、歯科矯正装置を自分で取り外すことのできる、マウスピースならではのメリットです。
マウスピースは食事のときに取り外すので、違和感なく食事をとることができます。
毎日の食事を楽しみたい方、会食など人と食事をする機会がある方には適した治療方法です。
快適に治療期間を過ごすことができる
マウスピース型の歯科矯正は、金属を使用しないのでワイヤーや金属に舌や粘膜があたり、不快な思いをすることがありません。
また、マウスピースは金属ではないため、歯科矯正器具の装着中に転倒したりスポーツをしてぶつかったりしても、口腔内で怪我をするリスクは低いといえます。
金属アレルギーの方でも装着できるのもメリットです。
歯に装着するマウスピースは、治療の段階によって歯の動きに合わせて作り替えていくので、歯が移動するときの痛みは緩やかです。
マウスピース歯科矯正のデメリット
次はマウスピース歯科矯正のデメリットをあげていきます。
適応できる歯並びが限られている
マウスピース型歯科矯正に適する歯並びは限定的です。
大きく歯列が乱れた歯の歯科矯正は、マウスピースでは対応しきれません。
マウスピース型歯科矯正ができるかどうかは、歯科医師の判断になりますので、一度受診をして相談すると良いでしょう。
自己管理が必要
自己管理とは、マウスピースの取り外しや消毒などです。
一日20時間以上のマウスピースの装着が基本となるので、食事の際に外したとしても、歯磨きをした後にはマウスピースを再度装着しなければなりません。
また、マウスピースを作り替えるために定期的に通院をします。
マウスピースの取り扱いに注意して、歯科矯正の治療が効果的に進むように、装着時間を守らなけれななりません。
マウスピース歯科矯正の費用相場は?
マウスピース歯科矯正の費用相場を紹介します。
マウスピース歯科矯正の相場は20〜100万円と幅があり、高額です。
この金額には、矯正装置の調整や作り替え、通院時の診察の料金などの費用も含まれています。
金額にこれほど幅があるのは、歯科矯正をする部位や歯の状態、治療に必要な期間が個人によって異なるからです。
部分矯正の場合
前歯のみ、など部分的な矯正の場合は、20〜70万円ほどです。
全体的な歯科矯正よりも短い期間で終了します。
一概に部分矯正といってもこれだけ幅があります。
前歯のみの矯正であったとしても、歯並びの状態や、使用するマウスピースの種類によっても料金が異なります。
全体矯正の場合
口腔内の歯列全体を矯正する場合、70〜100万円ほどかかります。
治療期間は1〜3年と長くなります。
全体の矯正治療の場合、効果的に歯並びを整えるためにワイヤー矯正を併用することもあります。
治療内容と費用の内訳
マウスピース歯科矯正の費用は、マウスピースの代金だけではありません。
マウスピースを作る前に、歯のレントゲンを撮ったり、マウスピースを装着中には定期的に通院する診察代金がかかります。
歯科医院でかかる費用ではありませんが、長期間の治療となれば交通費なども積み重なってきてしまいます。
具体的にどのタイミングで、どのくらい費用がかかってくるのか、紹介します。
一般的な治療の流れに合わせているので、詳しくは歯科医院の説明を聞いてくださいね。
マウスピース歯科矯正の開始前
カウンセリング費用:無料~5000円程度
歯科医院によっては、無料でカウンセリングをおこなっているところもあります。
カウンセリングは歯科矯正を検討している段階で受けることができ、説明を聞いてから実際に治療をするか決めることができます。
歯科矯正は、長期間になるうえ医師の腕によって仕上がりに違いがでてきます。
歯科医院選びは重要なので、いつくかの歯科医院のカウンセリングを受けてみてから、治療するところを選ぶことをおすすめします。
治療前の診察・検査・診断:無料~7万円程度
歯科矯正を始める前に、診察や検査を受けて歯の状態を診断します。
見た目ではわからない、歯茎のなか部分の歯の状態もレントゲンなどでみて治療方針を決めていきます。
ここでの検査費用は、歯科医院によっては無料でおこなっていますが、検査費用や診察料がかかるところも多いです。
マウスピース歯科矯正中
マウスピースの費用:10万円~70万円程度
マウスピースの作製代金です。
マウスピース型の歯科矯正では、順番にマウスピースを作り替えて少しずつ歯を移動させていきます。
歯の状態によって、マウスピースを作り替える回数が変わるので、費用に大きく幅がでてきます。
マウスピースの種類もいくつかあるので、マウスピースひとつあたりの代金も異なります。
歯科矯正を始める前に、およそどのくらいの回数マウスピースを作り替える必要があるのか、それによってかかる費用はどのくらいか、概算をだしてもらいましょう。
通院や調整の費用:無料~1万円程度(1回につき)
マウスピース歯科矯正が始まると、1ヶ月半に1回、2〜3ヶ月に1回など、医師の指示に合わせて通院します。
新しいマウスピースの歯型をとったり、アタッチメントの装着、歯の状態の確認やメンテナンスをおこないます。
歯科医院の制度によるのですが、マウスピース装着中の通院時の診察でも診察代金がかかる場合があります。
事前に診察代金も支払っている「総額制」であれば、通院費用は毎回払う必要はありません。
処置ごとで支払いをする、「処置別支払い制」であれば、基本的に通院1回ごとに診察代金がかかります。
総額制と処置別支払い制については後述します。
マウスピース歯科矯正終了後
保定装置の費用:無料~6万円程度
マウスピース歯科矯正が終了し、マウスピースを外したあとは、歯の後戻りを防ぐために、一定期間は保定装置をつける必要があります。
保定装置の着用期間は歯科医師の指示によって変わってきますが、歯を移動させる圧のかかっていないマウスピースのようなものを装着します。
保定装置も、固定したい歯の並びに合わせて作製します。
保定装置の代金がここでかかってきます。
総額制の場合は、事前に払っているのでここで支払うことはありませんが、処置別支払い制では保定装置の代金がかかります。
保定後観察費用:無料~5000円程度(1回につき)
保定期間も歯科医院へ定期的に通院し、歯の後戻りが起きていないか、他のトラブルがないか、確認をおこないます。
歯科医院によっては、保定装置や保定観察期間も歯科矯正料金に含んで見積もりをだすこともありますが、含まずに見積もりをだすところもあります。
保定期間も含まれて出している見積もりなのか、そうでないかでトータルの金額が変わってくるので、カウンセリングで確認しましょう。
マウスピースの種類と費用の目安
マウスピース歯科矯正といっても、マウスピースにいくつかの種類があります。
マウスピースの種類によっても費用が異なってきます。
また、治療の費用はマウスピースの種類によって決まるのではなく、個人の歯並びの状態によってきまるので、あくまで目安として参考にしてください。
インビザライン
歯科先進国のアメリカの会社が開発したマウスピース型歯科矯正のひとつです。
透明なポリウレタン製であり、目立たず、薄くて軽いため快適に装着できることが特徴です。
世界100カ国以上で800万人以上の人が使用していて、歴史のある矯正装置です。
全顎矯正と部分矯正のどちらにも対応しています。
奥歯を含む全体を治療する歯科矯正の場合は、総額で70〜100万円程度、前歯のみなどの部分矯正では30〜70万円程度といわれています。
イークライナー
イークライナーは韓国の矯正専門医が考案した矯正装置です。
インビザライン同様に透明で軽いマウスピースです。
コンピューターシステムを使用し、患者の負担を減らすような設計をしており、インビザラインよりも安価な40万円前後が相場です。
アソアライナー
アソアライナーはマウスピースの素材の弾力性を使って、矯正する歯に力を加える矯正装置です。
月に一度の頻度でコンピュータで歯の移動量を測定し、歯型を作製します。
日本製のマウスピース矯正装置なので国内に研究所があり、型取りをしてからマウスピースが届くまでに比較的短期間です。
しかし、治療できる症例に限りがあり、複雑な症例には対応が難しいようです。
相場はイークライナーと同様に40万円前後といわれています。
トランスクリア
主に前歯を中心とする上下の歯を対象としたマウスピース歯科矯正です。
トランスクリアも日本企業が取り扱っています。
費用の目安は40〜60万円程度といわれます。
キレイライン
キレイラインはマウスピースの中で一番強度の強い素材を使用しています。
歯を動かす弾力性にも優れているため、歯が動く際の痛みが少なく、歯を移動させる力が長く続きます。
相場費用は他のマウスピースよりも低めで30万円前後です。
他のマウスピース
マウスピース歯科矯正は近年人気が高いため、他のメーカーでも取り扱いが増えています。
マウスピースの代金は、歯科矯正の費用の内訳でも多くを占めるところなので、自分の歯の状態に合わせて最適なものが選択できるように、歯科医師とよく相談しましょう。
歯科矯正の支払い方法
歯科矯正はいずれの方法であっても20万円以上と、高額になります。
治療の支払い方法は歯科医院によって異なるため、事前によく確認してください。
ここでは一般的な支払い方法を説明していきます。
総額制(定時制・トータルフィー制)
「総額制」とは、初回診察料を除いた、治療開始から完了までの全額を、治療開始前に支払うことです。
定時制、トータルフィー制とも呼ばれます。
治療料金に含まれる内容や金額は、歯の状態や、歯科医院によって異なります。
支払う料金にはマウスピースの調整のための処置料金や、マウスピースの作製料金、保定の管理料金、診察料も含まれています。
予想よりも治療が長引いて治療の回数が増えたとしても、追加費用の心配がないことがメリットです。
注意点として、矯正治療中に発生した虫歯の治療代金、治療完了後のメンテナンス料金はふくまれていません。
処置別支払い制
「処置別支払い制」とは、通院するごとに診療費や処置代金を支払う方法です。
治療のたびに支払うため、1回に高額な費用を支払う必要はありませんが、治療が長引くと通院するたびに治療費がかかってしまうので、総額が増えていってしまいます。
治療が始まる前に、治療計画や予想される総額を確認しておきましょう。
処置別払い制、でも上限金額を設定している歯科医院もあります。
ローンやクレジットカードによる分割払いができる
歯科矯正は高額であるため、総額制であっても処置別支払い制であっても、治療のための料金を分割払いすることができます。
「デンタルローン」という会社が扱う歯科医療のためのローンがあり、金利が3.4%からとカードローンよりも低く設定されています。
デンタルローンを取り扱っていない歯科医院では、自分でデンタルローンを組むことができます。
また、歯科医院独自で分割システムを導入しているところもあります。
高額な料金に対してローンを組むと、支払い期間や金利の計算も必要です。
歯科医院と相談して自分にあった方法を選択しましょう。
歯科矯正は医療費控除の対象になる?
マウスピース歯科矯正もワイヤー矯正も、大人の場合は、原則的には医療保険は適応されません。
しかし、診断名がつくような病気の治療とみなされる場合には、医療費控除の対象となることがあります。
先天的な疾患や、骨の移動をおこなう手術を必要とする場合は、保険適応になる場合もあります。
審美目的(歯並びを整える)だけの場合は、医療費控除の対象にはなりません。
医療費控除の対象になるかどうかは、歯並びの症状や歯科医師の判断、診断書の内容によって異なります。
自由診療である審美目的の歯科矯正の場合、治療費は歯科医院によって異なります。
歯の状態によっても総額の治療費は変わってきます。
ほとんどの歯科医院では、事前に想定される治療費用を提示してもらえるので、説明をよく聞いたうえで治療をはじめるようにしましょう。
自分に適したマウスピース歯科矯正をするなら歯科医師に相談しましょう
マウスピース歯科矯正の費用相場について紹介してきましたが、料金にかなりの幅があります。
歯科矯正は歯の状態によって、治療方法も治療期間も大きく変わってくるため、万人に向けて明確な料金を提示できないのです。
大切なことは、個人の歯の状態に合わせて、最適な治療をすることです。
自分で思う歯並びの悩みやここを変えたい、という思いを専門家である歯科医師に伝え、適切な治療方法を選択することが望ましいです。
カウンセリングや相談を無料でおこなっている歯科医院も多くありますので、まずは相談をしてみましょう。
より詳しくは、赤坂さくら歯科クリニックにてご相談・ご来院をお待ちしております。